PROLOGUE
KAGOSAKAは、富士の麓・篭坂の歴史的背景と、「強羅花壇 富士」が持つブランドの世界観の共鳴を模索しながらデザインしました。かつて葛飾北斎が『富嶽三十六景』を描いたこの地で、雄大な富士の姿と対峙する強羅花壇の美意識をシンボリックに表現した、エントランス空間の核となるモニュメンタルな家具です。
DESIGN



ORIGIN
すべての起点は、この場所が内包する記憶にあります。北斎が『富嶽三十六景』で描いた、巨木と富士の対比が生むダイナミズム。その力強さと静寂が同居する篭坂の空気感を、現代のプロダクトとしてどう翻訳するか。それは機能的な家具ではなく、風景の一部となるアートピースへの挑戦でした。
葛飾北斎『富嶽三十六景』「甲州三嶌越」 (ca. 1830–32)Katsushika Hokusai, Thirty-six Views of Mount Fuji: Mishima Pass in Kai Province
INSPIRATION
形の源泉は、北斎自身が遺した図案集『新形小紋帳』に潜んでいました。そこに描かれた幾何学的な図形の連なりから、富士の稜線を数学的なロジックで抽出する。自然の造形を数式で再構築するその手法は、過去の意匠と現代のデザインアプローチを接続する鍵となりました。
葛飾北斎『新形小紋帳』(1824)Katsushika Hokusai, Shingata Komoncho
Study 1 : 連続する図柄から、破綻のないシルエットを抽出する検証Extracting a seamless silhouette from continuous geometric patterns.
Study 2 : スタディから導き出された富士のフォルムThe extracted form serving as a metaphor for Mount Fuji.
Study 3 : 上面図・側面図へ展開した3Dの基本形状Developing the silhouette into a functional 3D volume.
CRAFT
均質であることを拒み、揺らぎを愛でる。表面には伝統的な鋳造技術と金箔の技法を融合させ、意図的な「不均一」を作り出しました。陽の光、雲の影、そして経年変化。刻一刻と移ろう自然の表情を、その肌理(きめ)に映し出し、時間とともに深みを増していきます。
SCENERY
全長3メートルにおよぶ「インタラクティブなモニュメント」。それは単に眺める対象ではなく、人々が腰掛け、触れ、風景と一体化するための装置です。公共空間に耐えうる堅牢さと、工芸品のような繊細な美意識の共存。土地の記憶と人の体験が重なり合い、時代を超えて愛される新たな風景がここに実現しました。
MAKING PROCESS
Client: GORA KADAN, Star Asia
Design: Keita Suzuki, Ryuya Yamada (PRODUCT DESIGN CENTER)
Artisan: HEIWA GOKIN, REKISEISYA
Photo: Keishin Horikoshi
Year: 2025




